はりまや橋はがっかり？4つの橋と伝説を知れば魅力がわかる！

高知の観光名所と聞いて「はりまや橋」を思い浮かべる方は多いかもしれませんね。ですが同時に、日本三大がっかり名所の一つ、という少し不名誉な話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。旅行での失敗や後悔は避けたいもの。なぜがっかりと言われる一方で、なぜ有名なのか、不思議に思いませんか？

実は、はりまや橋が有名なのには、昔から語り継がれる悲しい恋の伝説や、よさこい節の元になった切ない事件が深く関係しているのです。それに、本物のはりまや橋が一つではないこと、最近では愛嬌のあるキャラクターが登場したことはご存知でしたか？

札幌の時計台のような他の日本三大がっかり橋や、首里城をはじめとする日本三大がっかり城、さらには世界三大がっかり名所と比べてみると、がっかりと言われる背景にある共通の理由も見えてくるかもしれません。

この記事では、「はりまや橋がっかり」の真相から、その言葉だけでは語れない奥深い歴史と魅力まで、あなたの疑問に一つひとつお答えしていきますね。

はりまや橋はがっかり？その理由を徹底解説

日本三大がっかり名所としての評価

「日本三大がっかり名所」という言葉、旅好きの方なら一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。これは、知名度がとても高いのに、実際に訪れてみると期待が大きかった分、少し残念な気持ちになってしまう観光地のことを指します。

このがっかり名所、実は「ここ！」と断定されているわけではなく諸説あるのですが、北海道の「札幌市時計台」と、高知県の「はりまや橋」の2か所は、ほぼ確実に名前が挙がる場所なのです。

残りの1か所は、長崎県の「オランダ坂」や沖縄県の「守礼門」などが候補に挙がることが多く、どれも歴史があって有名な場所ばかり。つまり、がっかり名所というのは、そもそも期待値が高い人気の観光地だからこそ付けられてしまう、ちょっぴり切ない称号とも考えられます。

その中でも、はりまや橋はがっかり名所の代表格として語られることが少なくありません。

なぜ、はりまや橋はがっかりと言われるのか

では、なぜはりまや橋は「がっかり」と言われてしまうのでしょうか。その理由はいくつか考えられます。

最も大きな理由は、多くの方が想像している橋のイメージと、実際の橋の規模との間にギャップがあるからかもしれません。名前の響きから、京都の渡月橋のような大きな木造の橋や、東京の日本橋のような風格のある橋を思い描いて訪れると、予想以上のこぢんまりとした姿に「え、これだけ？」と感じてしまう方が多いようなのです。

また、現在の朱塗りのはりまや橋ははりまや橋公園の中にあり、周辺はオフィスビルや繁華街に囲まれています。このため、風情ある景色を期待していくと、現代的な街並みとの対比に少し驚いてしまうかもしれませんね。

埋め立てられた川

もっと言えば、がっかり感に繋がる決定的な要因として、かつて橋の下を流れていた「堀川」が、昭和の都市開発や水質汚染の問題で埋め立てられてしまったことが挙げられます。

現在は、公園の整備によって川のせせらぎが再現されていますが、本来の「川に架かる橋」としての姿ではないため、この点に物足りなさを感じる方もいらっしゃるのです。これらの理由から、訪れた人の期待値と現実との間に差が生まれ、「がっかり」という感想に繋がりやすいと考えられます。

では、なぜ有名観光地になったのか

がっかり名所と言われる一方で、はりまや橋がこれほどまでに全国的な知名度を誇るのは、やはりメディアや歌の力が大きいと言えるでしょう。

その大きなきっかけの一つが、高知を代表する民謡「よさこい節」です。この歌の有名な一節に「土佐の高知のはりまや橋で　坊さんかんざし買うを見た」とあり、高知県民にとっては昔から馴染み深いフレーズなのです。この物悲しい恋の物語が、はりまや橋という地名を人々の記憶に刻みつけました。

そして、その知名度を全国区に押し上げたのが、1959年に歌手のペギー葉山さんが歌った『南国土佐を後にして』の大ヒットです。この歌謡曲の中にもよさこい節のフレーズが効果的に使われており、映画化もされたことで、はりまや橋の名前は一躍、日本中に知れ渡ることになりました。

このように、歌を通じて物語が広まり、多くの人が「一度は行ってみたい場所」として心に描くようになったのです。

よさこい節に唄われる純信とお馬の伝説

はりまや橋と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、よさこい節に唄われるお坊さんの「純信」と町娘の「お馬」の悲しい恋の物語ではないでしょうか。

この伝説は、江戸時代に実際にあった出来事が元になっていると言われています。当時、お坊さんの恋愛は固く禁じられていました。そんな時代に、五台山竹林寺の脇坊にいた僧侶の純信は、麓の町に住んでいた鋳掛屋（いかけや）の娘・お馬と恋に落ちてしまいます。

身分違いと掟、そして純信には20歳年下という年の差。多くの障壁がありながらも、二人は密かに愛を育んでいきました。しかし、幸せな時間は長くは続きません。

この許されない恋の物語の舞台となったのが、まさにはりまや橋だったのです。二人が人目を忍んで会っていた場所なのか、それとも悲しい噂が広まった場所なのか、様々な想像をかき立てられますね。この切ない物語が、単なる橋ではない、ロマンチックで少し物悲しいイメージをはりまや橋に与え、今もなお多くの人の心惹きつけています。

悲恋のきっかけとなった「かんざし事件」

純信とお馬の恋を悲劇的な結末へと導いたのが、有名な「かんざし事件」です。

実は、お馬に想いを寄せていたのは純信だけではありませんでした。純信の同僚であった僧侶「慶全」もまた、お馬に恋焦がれていたのです。しかし、お馬の心は純信にありました。

嫉妬に駆られた慶全は、お馬の気を引こうとかんざしを買い求めます。しかし、そのことが町の人に見つかってしまいました。恋愛が許されないお坊さんがかんざしを買っていたという事実は、あっという間に町の噂になります。

さらに悪いことに、慶全はこの話を自分に都合よくすり替え、「かんざしを買っていたのは純信だ」と吹聴してまわったと言われています。この噂によって立場が危うくなった純信とお馬。二人はこの場所で生きていくことはできないと判断し、手に手を取って駆け落ちを決意します。

しかし、二人の逃避行は長くは続かず、隣国の讃岐（現在の香川県）で関所破りの罪で捕らえられてしまいました。その後、二人は別々の場所へと追放され、二度と会うことはなかったと伝えられています。

はりまや橋のがっかりイメージを覆す魅力と歴史

• 昔のはりまや橋の姿と架け替えの歴史
• 本物のはりまや橋は実は複数存在する
• 名誉挽回を担う新キャラクターの登場
• 日本三大がっかり橋という俗説を検証
• 他の日本三大がっかり城との比較
• 世界三大がっかり名所にも通じる理由
• はりまや橋はがっかりか、自分の目で確認

昔のはりまや橋の姿と架け替えの歴史

現在のはりまや橋を見ると、少し物足りなく感じてしまうかもしれませんが、この橋には時代と共に姿を変えてきた長い歴史があるのです。

はりまay橋が誕生したのは江戸時代のこと。当時、この地で大きな影響力を持っていた商人の「播磨屋（はりまや）」と「櫃屋（ひつや）」が、堀川を挟んだ自分たちの店を行き来するために、私的に架けた木製の橋が始まりでした。

木造だった初代の橋は火事で焼失することもあったようですが、その都度架け替えられ、人々の生活に利用されてきました。

明治時代に入ると、文明開化の波と共に橋も進化します。明治41年（1908年）には、丈夫な鋳鉄（ちゅうてつ）製の橋へと架け替えられました。この橋は、優雅なデザインで当時としてはモダンなものだったことでしょう。

しかし、大正時代以降、高知駅前の都市開発が進むと、この鋳鉄製の橋も撤去されることになります。そして昭和25年（1950年）には、石造の欄干を持つ橋が完成しました。この橋こそが、ペギー葉山さんの歌で有名になった時代の橋なのです。

このように、はりまや橋は町の発展に合わせて何度も姿を変えてきた、高知の歴史の証人とも言える存在なのです。

本物のはりまや橋は実は複数存在する

「はりまや橋を見に行ったはずなのに、写真で見た橋と違う…？」もしそう感じたなら、あなたは正しいのかもしれません。なぜなら、現在の高知市中心部には「はりまや橋」と名の付く橋が、なんと4つも存在しているからです。

これを知っていると、がっかりするどころか、宝探しのように楽しむことができますよ。それぞれの橋には違った歴史や役割があります。

橋の通称・種類	場所	特徴や歴史
① 朱塗りの橋（木製）	はりまや橋公園（国道西側）	最も有名で写真撮影の定番スポット。初代の橋をイメージして再現された観光用のレプリカです。
② 石造りの橋	国道32号線上	路面電車や自動車が通行する現在の「本物」のはりまや橋。日常に溶け込んでいるため、気づかずに通り過ぎる人も。
③ 旧橋の欄干（石造）	はりまや橋地下通路	昭和25年から平成9年まで実際に使われていた橋の欄干部分が、地下道に移設・保存されています。
④ 鋳鉄製の橋	はりまや橋公園（国道東側）	明治41年に架けられた三代目の橋。一度撤去された後、市内の旅館で保管され、後に現在地へ移設されました。

このように、一口に「はりまや橋」と言っても、時代を超えた4つの姿を一度に見ることができるのです。それぞれの橋を巡りながら、高知の街が歩んできた歴史に思いを馳せてみるのも素敵な旅の楽しみ方ではないでしょうか。

名誉挽回を担う新キャラクターの登場

「がっかり名所」という、少し不名誉なイメージを逆手にとって、はりまや橋の名誉挽回のために立ち上がったユニークな存在がいます。それが、はりまや橋の妖精を名乗る新キャラクター「はりま」と「やばし」です。

この二人は、2023年頃に登場しました。少し不気味で、でもどこか憎めない独特の姿で橋の周辺に出没するうちに、じわじわと人気が上昇。最近では、高知県内のイベントに引っ張りだこになるほどの人気者になっているのです。

このキャラクターを誕生させたのは、高知市でカフェを営む方だそうで、「がっかり」という言葉をポジティブな話題に変えたいという想いから生まれました。

「がっかりさせてごめんね」とでも言いたげな、愛嬌のあるキャラクターの存在は、訪れる観光客を笑顔にしています。もし、はりまや橋でこの妖精たちに会えたら、とてもラッキーかもしれませんね。記念撮影をすれば、旅のユニークな思い出になることでしょう。

日本三大がっかり橋という俗説を検証

「日本三大がっかり名所」はよく知られていますが、「日本三大がっかり橋」という言葉を聞いたことはありますか？実は、このような言葉が使われることもあるのですが、これは正式なものではなく、一種の俗説のようなものです。

多くの場合、この「三大がっかり橋」として名前が挙がるのは、高知の「はりまや橋」、そして北海道・札幌の「札幌市時計台」の橋ではない方の名所と、もう一つは諸説ある、というのが実情のようです。

例えば、東京の「日本橋」を挙げる声もあります。高速道路が真上を覆っている景観を残念に思う人がいるからのようです。

このように見ていくと、「がっかり橋」と呼ばれる場所には、はりまや橋と同様に「名前の有名さや歴史的な価値に反して、現在の景観が期待と少し違う」という共通点があることがわかります。しかし、それは裏を返せば、それだけ多くの人が期待を寄せる、愛されている場所であることの証明とも言えるかもしれませんね。

他の日本三大がっかり城との比較

「がっかり」という視点で観光地を見てみると、橋だけでなく「日本三大がっかり城」という言葉も存在します。こちらも正式なものではありませんが、よく名前が挙がるのが大阪府堺市の「仁徳天皇陵古墳」、そして沖縄県の「首里城」などです。

仁徳天皇陵古墳ががっかりと言われる理由は、そのあまりの巨大さ。近くへ行っても、ただの森にしか見えず、航空写真で見るような鍵穴の形を地上から確認することはできません。これは、はりまや橋の「小さすぎる」という理由とは正反対で面白いですね。

一方、首里城の場合は、現在の建物が第二次世界大戦で焼失した後に復元されたものであること、そして2019年の火災で再び主要な建物を失ってしまったことが理由に挙げられます。歴史の重みを感じたいと訪れた人にとって、復元された姿は少し物足りなく映るのかもしれません。

このように、がっかりの理由は様々ですが、「期待していたものと違う」という点で共通しています。

世界三大がっかり名所にも通じる理由

視野を世界に広げてみると、「世界三大がっかり名所」というものも語られています。こちらも諸説ありますが、ベルギー・ブリュッセルの「小便小僧」、デンマーク・コペンハーゲンの「人魚姫の像」、そしてシンガポールの「マーライオン」がよく挙げられます。

これらの名所に共通する「がっかり」の理由は何でしょうか。

それは、はりまや橋とも通じる「想像していたよりも、ずっと小さい」という点です。どれも国のシンボルとして非常に有名で、写真などでは大きく見えますが、実際に目の当たりにすると、そのこぢんまりとしたサイズに拍子抜けしてしまう人が多いのです。

また、小便小僧や人魚姫の像は、はりまや橋のように周囲の景観がごく普通の街並みであることも、がっかり感を増幅させる一因かもしれません。壮大な物語やイメージとは裏腹の、日常に溶け込んだ姿が、期待とのギャップを生んでいると考えられます。

こうして見ると、「がっかり名所」というのは、国や文化は違えど、人々の抱く大きな期待の裏返しであることがよくわかりますね。

はりまや橋はがっかりか、自分の目で確認

• はりまや橋は日本三大がっかり名所の一つとして知られる
• がっかりの主な理由は想像より小さいことや周囲の景観
• 一方でよさこい節や歌謡曲によって全国的に有名になった
• 背景には純信とお馬の悲しい恋の伝説がある
• かんざしを買ったことがきっかけで二人は駆け落ちした
• 江戸時代に商人が架けた私設の橋が始まり
• 火事や都市開発で何度も架け替えられてきた歴史を持つ
• 現在、高知市には4つのはりまや橋が存在する
• 写真でよく見る朱塗りの橋は観光用のレプリカ
• 路面電車が通る石造りの橋が現在の本物にあたる
• 地下道や公園内には過去の橋も保存されている
• がっかりイメージを逆手にとったキャラクターも誕生した
• がっかりと言われる名所には期待とのギャップという共通点がある
• 歴史や背景を知ることでがっかりは魅力に変わる可能性がある
• 実際に訪れて自分の目で確かめるのが一番