「千と千尋の神隠し」のモデルになったとも言われる台湾の九份。赤い提灯が灯るノスタルジックな風景に憧れて訪れたのに、「なんだかがっかりした…」という声も少なくありません。
特に、現在の九份は観光客で人が多く、週末や連休には思うように散策できないこともあります。また、複雑な行き方や、混雑が引き起こす危険やトラブル事件に関する不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。中には、あまりの混雑にもう二度と行かない、なんて思ってしまう方もいるようです。
さらに、建物の老朽化から取り壊しでいつか街がなくなるのでは?という心配や、そもそも九份はなぜ有名になったのですか?といった歴史への疑問、九份と十份はどちらに行くべきですか?という計画段階での悩みまで、気になることはたくさんありますよね。
そこでこの記事では、九份は何時に行くべきか、また九份はどの時間帯が空いていますか?といった具体的な疑問から、便利なツアーの活用法まで、あなたが九份で最高の思い出を作れるよう、がっかりする理由とその対策を詳しく解説していきます。

私は台湾に5回、九份には2回行きましたが、「千と千尋」感が強くて行く価値ありだと感じました。
- 「九份がっかり」と言われる具体的な理由
- がっかりしないための効果的な対策や楽しみ方
- アクセス方法やおすすめの時間帯などの疑問解消
- 九份観光で後悔しないための予備知識
なぜ「九份にがっかり」という声が絶えないのか


- 九份はなぜ有名になったのですか?
- 金鉱山として栄えた九份の歴史
- 現在の九份はとにかく人が多い
- 混雑による危険やトラブル事件も
- 取り壊しでなくなるという噂は本当?
九份はなぜ有名になったのですか?


九份がこれほどまでに有名になった背景には、主に二つの映像作品の影響が考えられます。
一つ目は、1989年に公開された台湾映画『悲情城市』です。この映画がヴェネツィア国際映画祭でグランプリを受賞したことで、ロケ地である九份のノスタルジックな風景が世界的に注目されるきっかけとなりました。古き良き台湾の雰囲気を残す街並みは、多くの人々を魅了したのです。
そしてもう一つは、スタジオジブリのアニメ映画『千と千尋の神隠し』の舞台に似ている、という話が広まったことです。特に、赤い提灯がずらりと並ぶ茶藝館「阿妹茶樓」周辺の雰囲気は、映画に登場する湯屋を彷彿とさせます。
スタジオジブリ側は公式にモデル地として認めてはいませんが、この「都市伝説」が日本の観光客を中心に強い好奇心をかき立て、不動の人気を確立する大きな要因となりました。
このように、映画がきっかけで再び光が当たり、アニメの世界観と重ね合わせることで、九份は誰もが一度は訪れたいと願う幻想的な観光地として知られるようになったのです。
金鉱山として栄えた九份の歴史


現在の華やかな観光地の姿からは想像しにくいかもしれませんが、九份はかつてゴールドラッシュに沸いた金の街でした。
もともとは、清朝時代に9世帯しか住んでいなかった静かな村だったと言われています。しかし1890年代に金鉱が発見されると、一攫千金を夢見る人々が台湾全土、さらには日本からも集まり、街は急速に発展しました。「アジアの金の都」とまで呼ばれるほどの繁栄を極め、映画館や料亭が立ち並ぶ賑やかな山間の都市へと変貌を遂げたのです。
しかし、第二次世界大戦後、金の採掘量が次第に減少し始めると、街の輝きは少しずつ失われていきました。1971年には金鉱が閉山となり、あれほど賑わった街から人々は去り、九份は急速に衰退。再び静かな山村に戻ってしまったのです。
この「繁栄と衰退」というドラマチックな歴史こそが、九份の持つ独特の哀愁やノスタルジーの源泉と言えるかもしれません。忘れ去られた時代を経て、観光地として蘇った現在の姿は、歴史の変遷を静かに物語っています。
現在の九份はとにかく人が多い


九份を訪れた多くの人ががっかりする最大の理由、それは「人の多さ」です。特に、提灯に灯りがともる夕暮れ時から夜にかけての時間帯は、混雑がピークに達します。
メインストリートである「基山街」や、有名な茶藝館へと続く石段「豎崎路」は道幅が非常に狭いため、週末や祝日、連休には「夏の花火大会のよう」と表現されるほどの人でごった返します。前に進むのもやっとで、ゆっくりと景色を楽しんだり、お店を覗いたりすることは難しいかもしれません。
特に、日本人観光客だけでなく、台湾国内の観光客や海外からの団体ツアーも多く訪れるため、人の波は絶えません。狭い路地では、大きな声で話すツアーガイドの声や周囲の話し声が響き渡り、静かでノスタルジックな雰囲気を期待していると、その喧騒に圧倒されてしまう可能性があります。
このような状況から、「人が多すぎて観光どころではなかった」「息苦しくて気分が悪くなった」と感じてしまう方も少なくないようです。人混みが苦手な方にとっては、この点が九份観光の最も大きなハードルになると考えられます。
混雑による危険やトラブル事件も


人が多いという問題は、単に「ゆっくり見られない」というだけでなく、様々な危険やトラブルにつながる可能性もはらんでいます。
転倒や接触の危険
九份の象徴でもある「豎崎路」は、雨で濡れると滑りやすい急な石段です。ただでさえ歩きにくい場所に、大勢の人が密集しているため、人とぶつかってバランスを崩し、転倒してしまう危険性が高まります。特に、小さなお子様連れの方や、足腰に自信のない方は細心の注意が必要です。
スリや置き引き
残念ながら、多くの観光客で賑わう場所では、スリや置き引きといった軽犯罪のリスクも念頭に置くべきです。人混みに紛れて貴重品を盗まれるケースも考えられますので、バッグは前に抱える、貴重品は内ポケットに入れるなど、自己管理を徹底することが大切です。
交通に関するトラブル
混雑は、九份への行き帰りにも影響を及ぼします。特に帰りのバスは大変な混雑が予想され、休日にはバス停に長蛇の列ができます。満員のバスはバス停を通過してしまうこともあり、いつ乗れるかわからず立ち往生してしまうケースも。
また、しびれを切らしてタクシーを利用しようとしても、観光客相手に法外な料金を請求する「ぼったくりタクシー」に遭遇する可能性もゼロではありません。正規のタクシー乗り場以外で客引きをする運転手には注意しましょう。
取り壊しでなくなるという噂は本当?


「九份の古い建物は、いつか取り壊しでなくなってしまうのではないか」という心配の声を時々耳にすることがあります。確かに、九份の建物の多くは歴史が古く、山間の湿度の高い気候にさらされているため、維持管理が大変なことは事実です。
しかし、現在、九份の街全体が取り壊されるといった具体的な計画があるわけではありません。
九份は台湾を代表する重要な観光地であり、その独特の景観は国内外から多くの観光客を引きつけています。地元の人々にとっても、観光業は生活の基盤です。このため、街の景観を維持し、後世に伝えていこうという動きは存在します。
もちろん、個々の建物が老朽化により修繕されたり、建て替えられたりすることはあるかもしれません。ですが、あのノスタルジックな街並みがすぐになくなってしまうということは考えにくいでしょう。むしろ、これからも多くの観光客を迎え入れられるよう、少しずつ整備が進められていくと考えるのが自然です。



九份は人気観光スポットですから、取り壊す可能性は低いです。
九份でがっかりしないための対策と疑問解消


- 九份への行き方とアクセスでの注意点
- 確実に行くなら便利なツアーがおすすめ
- 九份と十份はどちらに行くべきですか?
- 九份は何時に行くべき?空いている時間は?
- もう行かないと思う前に試したい楽しみ方
九份への行き方とアクセスでの注意点


九份へのアクセスは主に3つの方法がありますが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。ご自身の旅のスタイルや予算に合わせて最適な方法を選ぶことが、がっかりしないための第一歩です。
アクセス方法 | 所要時間(目安) | 料金(目安) | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
バス | 1.5~2時間 | 約115元 | 最も安価。乗り換えなしで直行できる。 | 渋滞に巻き込まれやすい。混雑時は座れない、乗れない可能性がある。車酔いしやすい。 |
電車+バス/タクシー | 1~1.5時間 | 約65元~ | 渋滞の影響を受けにくい。ローカルな雰囲気を味わえる。 | 瑞芳駅での乗り換えが必要。帰りのバスやタクシーの確保が大変な場合がある。 |
タクシー | 約1時間 | 1,200元~ | 最も早く、快適。自由な時間に出発できる。 | 料金が最も高い。悪質な運転手に注意が必要。 |
オプショナルツアー | ツアーによる | ツアーによる | 往復の交通手段が確保されていて安心。ガイド付きで効率的に回れる。 | 時間や行動に制約がある。自由度は低い。 |
バスでのアクセス
台北市内のMRT「忠孝復興」駅などから直行バスが出ており、最も手軽で安価な方法です。しかし、前述の通り、休日は大変混雑し、渋滞で時間がかかる上に、満員で乗れないリスクもあります。
電車とバス/タクシーを乗り継ぐ方法
台北駅から台湾鉄道で「瑞芳」駅まで行き、そこからバスかタクシーに乗り換える方法です。電車は渋滞の心配がないのが大きなメリットですが、瑞芳駅からのバスも混雑する点は同じです。
タクシーでのアクセス
複数人で利用すれば一人当たりの負担は減りますが、やはり割高です。帰りに料金交渉が必要な場合や、悪質なドライバーもいるため、ホテルで手配してもらうなど、信頼できる方法を選ぶのが無難です。
確実に行くなら便利なツアーがおすすめ


「行き方が複雑で不安」「バスに乗れなかったらどうしよう」と感じる方には、オプショナルツアーの利用が最も確実な選択肢と言えます。
ツアーを利用する最大のメリットは、何と言っても往復の交通手段が確保されていること。台北市内のホテルや指定の場所から専用バスで直行できるため、乗り換えの心配や満員で乗れないといったストレスから解放されます。特に、帰りの交通手段を心配せずに夜景をゆっくり楽しめるのは大きな利点です。
また、多くのツアーには日本語ガイドが同行します。九份の歴史や見どころを解説してくれるので、ただ街を歩くだけでなく、より深く文化を理解することができます。自分たちだけでは見つけられないような写真スポットや、おすすめのお店を教えてもらえるかもしれません。
最近では、九份観光だけでなく、ランタン上げで有名な「十分」とセットになったツアーも人気です。個人で両方を1日で回るのは時間的にも体力的にも大変ですが、ツアーなら効率よく人気スポットを巡ることができます。
もちろん、団体行動なので自由時間が限られるというデメリットはあります。しかし、「とにかく楽に、安心して九fenの雰囲気を味わいたい」という初心者の方や、滞在時間が短い方にとっては、ツアーは非常に心強い味方になってくれるはずです。
九份と十份はどちらに行くべきですか?


台北近郊の人気観光地としてよく名前が挙がる九份と十份。どちらも魅力的ですが、雰囲気や楽しみ方が異なるため、どちらに行くべきか迷う方も多いでしょう。
九份の魅力
九份は、山の斜面に広がるノスタルジックな街並みそのものが魅力です。
- 楽しみ方: 赤い提灯が灯る石段の散策、レトロな茶藝館でのお茶、食べ歩き、お土産探し
- おすすめな人: 映画のような幻想的な雰囲気に浸りたい人、美しい景色や写真を撮りたい人、街歩きが好きな人
十份の魅力
一方、十份は平渓線の線路沿いに広がる町で、願いを込めて「天燈(ランタン)」を空に上げる体験が最大の魅力です。
- 楽しみ方: ランタン上げ体験、線路の上を歩く非日常感、十分瀑布の見学
- おすすめな人: アクティブな体験がしたい人、願い事をしたい人、ローカル線の旅情を味わいたい人
時間がない場合はどちらを選ぶ?
もし1日しか時間がなく、どちらか一方を選ぶなら、あなたの旅の目的次第です。「幻想的な景色と雰囲気を重視するなら九份」「思い出に残る体験をしたいなら十份」と考えると良いかもしれません。
ただ、前述の通り、現在では九份と十份の両方を効率よく巡れるオプショナルツアーが数多く用意されています。時間に余裕があれば、ぜひ両方の魅力を味わってみることをおすすめします。
九份は何時に行くべき?空いている時間は?


九份を訪れる時間帯は、旅の満足度を大きく左右する大切なポイントです。どの時間帯に何をしたいのかによって、ベストな選択は変わってきます。
最も幻想的、しかし最も混雑する「夕暮れ~夜」
九份のハイライトは、やはり赤い提灯に明かりが灯り始める夕暮れ時(日没前後)です。空の色の移ろいと提灯の灯りが織りなす風景は、まさに幻想的で、多くの人がこの景色を目指して訪れます。しかし、これは最も人が集中する時間帯でもあり、激しい混雑は避けられません。最高の景色を見るためには、人混みを覚悟する必要があります。
ゆっくり散策できる「午前中」
人混みを避けて、九份の街並みそのものをゆっくりと散策したいのであれば、午前中が断然おすすめです。ツアー客が到着する前の静かな時間帯は、お店もまだ準備中のところが多いですが、建物の造りや路地の雰囲気をじっくりと味わうことができます。写真も人を気にせず撮りやすいでしょう。
宿泊者だけの特権「夜遅く」と「早朝」
もし時間に余裕があるなら、九份に一泊することをおすすめします。日帰りの観光客が去った後の20時以降の静かな夜や、お店が開き始める前の清々しい早朝の空気は、宿泊しなければ味わえない特別なものです。誰もいない石段を歩けば、まるで街を独り占めしたかのような贅沢な気分になれます。
要するに、写真映えする景色を狙うなら混雑覚悟で夕暮れ時、街の雰囲気を静かに楽しみたいなら午前中か宿泊、というのが基本的な考え方になります。
もう行かないと思う前に試したい楽しみ方


一度訪れて「人が多いだけでがっかりした…もう行かない」と感じてしまった方も、少し視点を変えるだけで九份の全く違う魅力に出会えるかもしれません。
メインの通りから一本、脇道へ
多くの観光客は、基山街と豎崎路というメインの通りに集中しています。そこから一本、細い脇道に入ってみてください。そこには観光客の喧騒が嘘のような、地元の人々の生活が垣間見える静かな空間が広がっています。思いがけず可愛い猫に出会ったり、趣のある建物を発見したりと、自分だけの九份を見つける探検はとても楽しいものですよ。
宿泊して朝と夜の顔を知る
前述の通り、九份に宿泊することは、この街の本当の魅力を知るための最良の方法の一つです。日帰り客がいなくなった後の静寂に包まれた夜、そして朝の光の中で目覚める街の姿は、昼間の混雑したイメージを覆してくれるはずです。屋上からの夜景が自慢の民宿も多く、ゆったりとした時間を過ごせます。
周辺エリアにも足を延ばす
九份の魅力は、あの有名なエリアだけではありません。すぐ近くにある「金瓜石(きんかせき)」は、同じく金鉱で栄えた場所で、黄金博物館や日本統治時代の建物が残る、より歴史散策に適した落ち着いたエリアです。九份の混雑から少し離れて、この地域の歴史を深く知る旅もおすすめです。
このように、定番のルートから少しだけ外れてみる勇気が、九份での体験をより豊かで満足度の高いものに変える鍵となります。
対策を知れば九份でがっかりは避けられる
ここまで「九份がっかり」の理由と対策を解説してきましたが、最後に重要なポイントをまとめます。
- 九份が有名になったのは映画『悲情城市』と『千と千尋の神隠し』のモデル説がきっかけ
- 元々はゴールドラッシュで栄えた金鉱の町という歴史を持つ
- 現在の九份は特に夕方以降、歩くのも困難なほど人が多い
- 混雑により転倒やスリ、交通トラブルなどの危険性も高まる
- 街が取り壊しでなくなるという噂は現在のところ計画されていない
- 九份への行き方はバス、電車、タクシー、ツアーの4択
- 個人でのアクセスは渋滞や混雑で乗れないリスクがある
- 初心者や混雑を避けたい場合はオプショナルツアーが最も確実で安心
- 幻想的な景色なら九份、体験を重視するなら十份がおすすめ
- 九份と十份はセットのツアーで両方楽しむのが人気
- 最も美しい夕暮れ時は最も混雑する時間帯と心得る
- 人混みを避けるなら午前中か、日帰り客が去った夜遅くが狙い目
- 最高の体験をするなら九份での宿泊がおすすめ
- メインストリートから脇道にそれると静かな九份の顔が見える
- 周辺の「金瓜石」エリアと合わせて観光するとより深く楽しめる
コメント